秋色の花重ね
〜庭に深まりを添えて〜

最近は「花離れ」とも言われ、根つきの花は手間がかかるからと敬遠されがちです。
けれども、土に根を張った花だからこそ、季節の移ろいをそのまま映し出してくれます。
ほんの少し目を向けるだけで、暮らしの中に小さな驚きや癒しが広がります。

今年の9月は、まだ夏みたいですね。
それでもお彼岸を過ぎる頃の庭は、夏の名残りに秋の気配が重なります。
朝夕の涼やかな風や、光のやわらぎに、自然の移ろいを感じる瞬間があります。

庭の一角に植えられた植物たちの写真です。左側には赤と緑が混ざった細長い葉を持つ草が茂り、先端に淡い穂状の花が伸びています。右側には濃い紫色の葉を広げる植物が群れ、ところどころに小さなピンクの花が咲いています。明るい日差しを浴びて、色の対比が鮮やかに映えています。

ケイトウとムラサキゴテン

白い花びらに黄色い中心を持つ小さな花が数輪咲いています。周囲にはまだつぼみの状態の丸い蕾が多く、葉は濃い緑色で一部に枯れや茶色い部分が見えます。明るい日差しの下で咲く、素朴で清らかな印象の花です。

シュウメイギク

そんな季節を楽しむのにぴったりなのが、
庭の「秋色の花重ね」。

庭に咲いたケイトウの赤やオレンジ、白のシュウメイギク、リコリス(彼岸花)の鮮やかな赤、コスモスのピンク色…。
ムラサキゴテンの濃い紫色もありました。

自然が描く色合いをそのまま重ねるだけで、小さな庭にも秋の物語が広がります。

黄色やオレンジ、赤、ピンクなど鮮やかな色合いのジニアの花が群れ咲いている様子です。花びらは放射状に広がり、中央は濃いオレンジ色。周囲の緑の葉と鮮烈な色の対比が華やかで、にぎやかな雰囲気を感じさせます。

秋色のジニア

濃い紫色の丸い花がたくさん咲いており、その間を白や淡いピンク色の小さな花がふわりと交じり合っています。緑の葉に囲まれた中で、鮮やかな紫とやさしい白が対照的に映え、にぎやかで華やかな雰囲気の花壇の一角です。

センニチコウとガウラ

そこに実や葉を少し添えると、さらに深まりが増します。
アメリカヅタ、ノブドウ、バラの実、ミズヒキの姿も、秋を語ってくれる存在です。

濃い緑色の切れ込みのある葉が伸びたつる植物の写真です。葉の間には小さな黄緑色のつぼみや花が集まって咲き始めています。背景には黒い柵があり、日差しを受けた葉が光って瑞々しく見えます。

ノブドウ

秋は、色と色が重なり合い、やさしい景色を見せてくれる季節。
庭にある花や実に目をとめるだけで、秋の彩りが感じられます。

庭に立ち、咲く花や実を眺めながら深呼吸する――そんなひとときは、庭で秋を楽しむ時間そのもの。
特別な手を加えなくても、ほんの少し目を向けるだけで、日常にやさしい彩りが加わります。

寄せ植えの鉢の写真です。オレンジ色のマリーゴールドが中心に咲き、周囲には赤紫色の背の高いケイトウや、斑入りの葉、黒みがかった葉の植物などが組み合わされています。緑や赤、黄、橙が重なり合い、華やかで立体感のある彩り豊かな寄せ植えになっています。

秋色の寄せ植え

日々の忙しさをちょっと忘れて、
「秋色の花重ね」で癒しの時間をどうぞ。

 

大貫茂子

こんにちは、大貫茂子です。2010年、教室の移築に合わせて雑木の庭をバラとハーブの庭に作り変えました。素材選びや植栽計画まで自身で手がけ、約130本のバラや四季の植物が楽しめる庭に。見てくださる方にも癒しと力を届けられるよう日々手入れしています。

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